学校いじめ防止基本方針

はじめに

 本校は校訓「豊かな心 新たな挑戦」のもと、全国唯一の農業福祉科高校として、全生徒が農業と福祉をともに学ぶことを通じ、命を慈しむ教育を実践している。そして、21世紀の担い手として、地域農業並びに社会福祉の振興に寄与する豊かな心と実践力を兼ね備えた社会に有為な人材を育てることを目指している。
 そのために、すべての生徒が安心して有意義な学校生活を送り、充実した教育活動に取り組むことができるよう、いじめ防止に向けて(学校の内外を問わず)日常の指導体制を定め、いじめの未然防止を図りながらいじめの早期発見に取り組むとともに、いじめを認知した場合は適切かつ迅速に解決するために、「学校いじめ防止基本方針」(いじめ防止全体計画)を定める。

いじめの防止等の対策に関する基本理念

 いじめは、いじめを受けた生徒の教育を受ける権利を著しく侵害し、その心身の健全な成長及び人格の形成に重大な影響を与えるのみならず、その生命又は身体に重大な危険を生じさせるおそれがある。
 学校内外を問わず全ての生徒がいじめを行わず、いじめを認識しながら放置することがないよう、「いじめは人間として絶対に許されない」ことを生徒に十分に理解させることを旨として、いじめの防止等のための対策を行う。また、いじめの防止等のための対策は、いじめを受けた生徒の生命及び心身を保護することが最も重要であり、並びにいじめを受けた生徒に非はないという認識に立ち、いじめを受けた生徒を全力で守り抜くことを旨として、保護者や関係機関等との連携協力のもと行う。
 生徒が望ましい人間関係を自ら構築するため、いじめやトラブルなどの問題を解決し、人間関係を修復する力を育成することで、主体的に社会性のある個性や能力を伸ばし、自立し、たくましく生きていくことのできる力を育てる。

いじめの定義と判断・認知

 いじめとは、「当該生徒と一定の人的関係にある他の生徒が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネット等を通じて行われるものを含む)であって、当該行為の対象となった生徒が心身の苦痛を感じているもの」をいう。
 個々の行為がいじめに当たるか否かの判断は、表面的・形式的にすることなく、いじめられた生徒の立場に立って行わなければならない。
 また、いじめの認知は特定の教職員のみで行うことなく、学校に設置した「いじめ防止対策委員会」を通じて組織的に行う。

いじめの理解

 いじめは、どの生徒にも、どの学校にも起こりうる。とりわけ、嫌がらせや意地悪等の「暴力を伴わないいじめ」は、多くの生徒が入れ替わりながら被害も加害も経験する。加えて、いじめの加害・被害という二者関係だけでなく、「観衆」としていじめをはやし立てたり面白がったりする存在や、いじめの周辺で暗黙の了解を与えている「傍観者」の存在にも注意を払い、集団全体にいじめを許さない雰囲気が形成されるようにすることが必要である。

いじめ防止・早期発見のため指導体制・組織的対応

(1)日常の指導体制
 いじめを未然に防止し、早期に発見するための日常の指導体制を以下の通りとする。
 別紙1  いじめ防止対策委員会の設置
(2)緊急時の組織的対応
 いじめを認知した場合のいじめの解決に向けた組織的な取組を以下の通りとする。
 別紙2  組織的ないじめ対応の流れ 
(3)未然防止及び早期発見のための年間計画
 いじめの未然防止、早期発見の観点から、学校教育活動全体を通じて多様な取組を体系的・計画的に行うために、年間計画を以下のとおり定める。
 別紙3  いじめ防止・早期発見のための年間計画

いじめへの対応

(1)生徒への対応
①いじめられている生徒への対応
 いじめられている生徒の苦痛を共感的に理解し、心配や不安を取り除くとともに、全力で守り抜くという「いじめられている生徒の立場」で継続的に支援する。
○ 安全・安心を確保する。
○ 心のケアを図る。
○ 今後の対策について、共に考える。
○ 活動の場等を設定し、認め、励ます。
○ 温かい人間関係をつくる。
○ いじめが解決したと思われる場合でも、継続して十分な注意を払い必要な支援を行う。
②いじめている生徒への対応
 いじめは決して許されないという毅然とした態度で、いじめている生徒の内面を理解し、他人の痛みを知ることができるようにする指導を根気強く行う。
○ いじめの事実を確認し、自らの行為の重大性や責任を自覚させる。       
○ いじめの背景や要因の理解に努める。
○ いじめられている生徒の苦痛に気付かせる。
○ 今後の生き方を考えさせる。
○ 必要がある場合は、懲戒を加える。

(2)関係集団への対応
 被害・加害生徒だけでなく、面白がって見ていたり、見て見ぬふりをしたり、止めようとしなかったりする集団に対しても、自分たちでいじめ問題を解決する力を育成することが大切である。
○ 自分の問題としてとらえさせる。
○ 望ましい人間関係づくりに努める。
○ 自己有用感が味わえる集団づくりに努める。

(3)保護者への対応
① いじめられている生徒の保護者に対して
 複数の教員で対応することを基本に、いじめの事実関係について迅速に保護者に伝えるとともに、学校は徹底していじめられている生徒を守り通すことを伝え、少しでも安心感を与えられるようにする。
○ じっくりと話を聞く。
○ 苦痛に対して本気になって精一杯の理解を示す。
○ 親子のコミュニケーションを大切にするなどの協力を求める。
② いじめている生徒の保護者に対して
 いじめの事実を把握したら速やかに面談して丁寧に説明し、事実に対する理解や納得を得る。
○ 生徒や保護者の心情に配慮する。
○ 生徒の行動が変わるよう教員として努力していくこと、そのためには保護者の協力が必要であることを伝える。
○ いじめを受けた生徒とその保護者に対して、誠意をもって対応するように促す。
○ 何か気付いたことがあれば報告・連絡してもらうよう依頼する。
③ 保護者同士が対立する場合など
 教員が間に入って関係調整が必要となる場合がある。
○ 双方の和解を無理に急がず、相手や学校に対する不信等の思いを丁寧に聴き、寄り添う態度で臨む。
○ 管理職が率先して対応することが有効な手段となることもある。
○ 教育委員会や関係機関と連携して解決を目指す。

(4)関係機関との連携
 いじめは学校だけでの解決が困難な場合もある。情報の交換だけでなく、関係機関との一体的な対応をすることが重要である。
① 教育委員会との連携
○ 関係生徒への支援・指導、保護者への対応方法
○ 関係機関との調整
② 警察との連携
○ いじめられている生徒の心身や財産に重大な被害が疑われる場合
○ 犯罪等の違法行為がある場合
③ 福祉関係との連携
○ 家庭の養育に関する指導・助言
○ 家庭での生徒の生活、環境の状況把握
④ 医療機関との連携
○ 精神保健に関する相談、精神症状についての治療・指導・助言

(5)いじめの解消
 いじめは、謝罪だけでは解消とはなりません。「いじめ」の解消とは、次の要件が満たされているか確認する必要がある。
①いじめに係る行為が止んでいること
 被害生徒に対する「いじめ」行為が3ヶ月以上止んでいることとする。ただし、「いじめ」の被害重大性等からさらに長期の期間が必要であると「いじめ防止委員会」の判断により、長期の期間を設定する。
②被害生徒が心身の苦痛を感じていないこと
 被害生徒がいじめの行為によって心身の苦痛を感じていないこと、生徒本人及びその保護者に対し面談等により確認する。
上記の「解消している」状態とは、3ヶ月以上維持している。

ネットいじめへの対応

(1)ネットいじめとは
 文字や画像を使い、特定の生徒の誹謗中傷を不特定多数の者や掲示板等に送信する、特定の生徒になりすまし社会的信用を貶める行為をする、掲示板等に特定の生徒の個人情報を掲載するなどがネットいじめであり、これは犯罪行為にもあたる。

(2)ネットいじめの予防
① 保護者への啓発
○ フィルタリング
○ 保護者の見守り
② 情報教育の充実
○ 科目「農業情報処理」における情報モラル教育の充実
③ ネットパトロールの定期的な実施
○ 原則として毎週金曜日にネットパトロールを実施
④ ネット社会についての講話(マナー面・防犯面)

(3)ネットいじめへの対処
① ネットいじめの把握
○ 被害者からの訴え
○ 閲覧者からの情報
○ ネットパトロール
② 不当な書き込みへの対処

重大事態への対応

(1)重大事態とは
① いじめにより生徒の生命、心身又は財産に重大な被害が生じた疑いがあると認めるとき。
○ 生徒が自殺を企図した場合
○ 精神性の疾患を発症した場合
○ 身体に重大な障害を負った場合
○ 金品等に重大な被害を被った場合
② いじめにより生徒が相当の期間学校を欠席することを余儀なくされている疑いがあると認めるとき。
○ 年間の欠席が30日程度以上の場合
○ 上記の基準に係らず、一定期間連続して欠席している場合
③ 生徒や保護者からいじめられて重大事態に至ったという申し立てがあったとき。

(2)重大事態発生時の対応
① いじめによる重大事態が発生した旨を、留寿都村教育委員会に対し速やかに報告する。
② 村教育委員会と協議のうえ、当該事案に対処するための組織を設置する。
③ 上記組織を中心として、事実関係を明確にするための調査を実施し、事態の解決にあたる。
④ いじめを受けた生徒・保護者に対し、上記の調査により明らかになった事実関係その他の必要な情報を適切に提供する。

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